今日はサマーカットについてのお話。
4月~9月の暖かい季節になると、暑そうだからワンちゃんの毛を短くして涼しくしたいと思っている方も多いと思います。
インターネットで「サマーカット」について検索してみると
- サマーカットをすると毛が生えてこなくなる!
- サマーカットはNG!!
- 涼しいはずが逆効果!
のような見出しの記事が沢山みつかります。 「ホントに生えてこなくなるの?知り合いのダックスは冬には戻っているよ?」 という方もいらっしゃると思いますが 元に戻るワンちゃんもいますが、元通りの毛質には戻らないケースも多いです。 今回はサマーカットによる毛質の変化や理由について記事にまとめてみました。
サマーカットをする時に注意する犬種は?
サマーカットは一般的には1㎜~5㎜のバリカンで体を短く刈り込むスタイルで、毛の長さのイメージとしては地肌が透けて見える短さです。


元通りの毛に戻らない可能性が高い犬種は、毛の長さが一定以上伸びないワンちゃんになります。 (ポメラニアン、チワワ、ダックス、シェルティー、柴犬などなど) 個人的な感覚になりますが、ダックス、ポメラニアン、シェルティーは毛質に変化が出やすく、均一に伸びずに毛が薄い所や毛色が濃い所などまだらになる事が多いです。
ポメラニアン
チワワ
ダックス
シェルティー
柴犬
サマーカットで毛質が変わる理由
サマーカットで毛を短く刈り込むと毛質が変わる事があるのは確かですが、毛質が変わる原因は明らかになっていません!
例えば、同じお家のダックスを同じ日に同時にサマーカットした場合でも、1匹は生えてこなくても、もう1匹は生えてくる、という事もよくあります。
毛の伸び方もダブルコートのワンちゃんの場合は、上毛が先に伸びてきて下毛は換毛期で入れ替わるので、サマーカット後に伸ばそうとすると、どうしても不自然な形になるので、より気になるのかもしれません。
明らかな原因は分かっていませんが、次のような事が毛質が変わる理由とされています
毛質が変わったり生えてこなくなる原因
- 元々の遺伝的要因
- バリカンによる毛穴のダメージ
- 紫外線によるホルモンバランスの異常
- 紫外線による皮膚炎
- 毛の生え替わりの周期との関係
個人的な感覚でいえば夏にサマーカットをして、日中もよく外で遊ばせてあげるワンちゃんほど、毛質が変わり伸びてこない事が多いため、ホルモンバランスの異常、または紫外線の影響が可能性としてはありそうな気もします。
ワンちゃんの皮膚は薄い部分は人間の1/5程度しかなく、人間の赤ちゃんの皮膚の厚さは大人の1/2~1/3とされています。つまり、赤ちゃんよりも薄い皮膚なんです。
ですが、なんとなく犬の皮膚は丈夫なのかな?と勘違いされがちなのは豊富な被毛でガードしているためで、これを短く刈ってしまうという事は日傘をささずに赤ちゃんを抱っこして散歩するのと同じ事といえます。
脱毛症X
ポメラニアンで多く見られることから、ポメハゲとも言われたりしますが、頭と足の毛を残して体全体の脱毛が見られる症状です。
ポメラニアンだけでなくプードルでもおこります。
最初は首周りやももの後ろの付け根から脱毛がはじまることが多く、原因が不明なのでXと呼ばれています。
サマーカットをした場合の注意点と対策方法
皮膚のことを考えるとサマーカットはしない方がよいのですが、生活環境のこともあるので、サマーカットをしたうえで脱毛しない対策方法としては。
夏の紫外線に注意する
元の毛質に戻らない可能性が高いワンちゃんとして「ポメラニアン、チワワ、ダックス、シェルティー、柴犬など」と書きましたが、すべて換毛期があって夏毛と冬毛に毛が生え変わる犬種です。
汚れや水を弾じく【上毛:オーバーコート】と、体温を保つ為の【下毛:アンダーコート】で体を守っています。これらの毛が生え変わるのは、気温や日照時間などが影響するとされますが、どちらかといえば、気温による影響が大きいです。
通常はこの2重の毛で夏の紫外線やアスファルトの反射熱から体をガードしているのですが、これがなくなるという事は真夏の紫外線が直接肌にダメージを与えることになります。
対策方法
サマーカットをした場合は、紫外線の影響を減らすために「日中は外に出さない」か「服を着せる」ことで一応対策は出来ます。 ただ、毛が生えてこなくなる原因は紫外線だけではないので、紫外線の対策したからといって短くした被毛がどうなるのかは分かりません。
そもそものサマーカットの意味がなくなってしまいますが、ワンちゃんにとっては夏に短くしたら涼しくなるというワケではないので、正直紫外線のダメージを考えるとリスクしかありません。 夏の過ごしやすさを考えるならお腹周りを短くしてあげれば十分ですね。
ポメを柴犬カットにしたい時はどうすれば?
ポメの柴犬カットは可愛いです!
柴犬カットにしたいけど、毛質が変わって生えてこなくなるのも怖いという時は、最初のオーダーはハサミ仕上げで毛先を揃えてもらう程度に注文して、様子を見ながらイメージするスタイルに変えていくと良いと思います。いきなり3㎜、5㎜のような地肌が見えるほどバリカンで刈り込んでしまうのは怖いです。
生えてこなくなるケースだけでなく、脱毛してしまうコもいます。
柴犬カットといっても長さのイメージはトリマーで違うので 「バリカンではなくハサミで○○ぐらいの長さでお願いします」 とお店にキチンと伝えましょう。 ハサミなら短く刈り込もうとしても約1㎝は残ります。(僕の場合ですが)
1cmでもかなり短いので、やはり最初は全体の毛先を揃える程度にした方が良いです。 毛が生えなくなるのは「紫外線の影響、体温調整の変化」によるホルモンバランスが崩れるためと考えると、短くしすぎない事が大事ですね。
サマーカットの受け取り方はトリマーで異なる
サマーカットと伝えると、トリマー側はすごく短くしたいのかな?
と考えるので、あまり短くしたくない場合はサマーカットという言葉は使わない方が良いと思います。 ちなみに、イソラではポメラニアン、シェルティーは必ずオールシザーでの仕上げ。 (あまり短くするのはおすすめしません)
チワワ、ダックスはお客様にご説明したうえでオールシザーかバリカンを使うかを考えます。 (スムースのようにしたい場合はハサミでは限界があるので、バリカンを使います。)
鋏で仕上げれば絶対に大丈夫かと言われれれば、「絶対とはいえないので止めましょう」となりますが、出来るだけ長く残すほど毛が生えてこないリスクは減らせると思います。